電車の制御方式の中でも、いちばんメジャーな制御方式。
それが、抵抗制御方式です。
現在はVVVFなどの半導体素子を使った制御方式が主流となっていますが、
まだまだ抵抗制御方式の車両は多いです。
いちばん古くから使われていた制御方式でもあり、
なおかつ、わかりやすい方式でもあります。
さて、電車が走ろうとする時、モーターへはどういう電流を流せばいいでしょうか?
架線から取り入れた電流を、そのままモーターへ流しても、
電車はなかなか動きません。
車でいきなり5速で走ろうとしても無理なのと一緒で、
最初は低い電圧をかけて、ゆっくりと動き出さなければいけないのです。
この辺は、トルクと関係もあるんですが…。
とりあえず、下のモデル図を見てください。
実際はもっと複雑ですが、簡単に説明するためにかなり省略しています。
あと、番号と記号も適当です。
惰行運転に入った時のあの音でも説明したL群から、回路が続いています。
回路には、R1からR4までの抵抗器(電車によって抵抗器の数は違う)が
直列に接続されています。
また、抵抗器群と並列にR1SからR4Sまでのスイッチが接続され、
それらと直列にモーターが接続されています。
とりあえず、運転士がノッチをひとつ進段させると、
抵抗がひとつ短絡される、と言う単純な回路と仮定します。
さて、電車を動かしてみましょう。
前後進ハンドルを前進に入れて、ブレーキを緩解、
マスコンを力行1ノッチに進段。
以前説明したシャ断器が入って、電気が流れてきます。
最初の段階では、全部の抵抗が入った状態になっています。
すると、モーターへ流れる電流値は非常に低く、ゆっくりと回転を始めます。
電車が動き出したら、もっと加速するために、ノッチを進段させます。
2ノッチにすると、R1Sのスイッチが入り、抵抗器R1が短絡されます。
すると、電流は抵抗の少ないR1Sの方を流れるようになり、
モーターへ流れる電流値が高くなります。
すると、モーターは速く回転を始めます。
もっと速く加速するために、今度は3ノッチに進段します。
すると、R2Sのスイッチが入り、抵抗器R2が短絡。
4ノッチにすると、R3Sが入って、R3が短絡。
5ノッチで、R4Sが入って、R4が短絡。
これで、すべての抵抗器が短絡され、モーターへと直接電気が流れるようになりました。
これが、抵抗制御方式の基本的なしくみです。
実際の電車は、さらに別の制御方式も取り入れて加速をしています。
それに関しては、次の項でお話しします。