90年代に入ってから急速に増えてきたのが、
この総合車両所です。
総合車両所ってなにか? というのを簡単に言うと、
工場と運転区所の合併です。
これが意外と便利なので、
いろいろなところでこの合併が進んでいます。
車両基地の種類でもお話しましたが、
そもそも工場と運転区所はやっていることがまったく違います。
JRで言えば国鉄時代は管轄そのものも違いました。
(工場は「工作系」で運転区所は「運転系」)
この縦割りのままだと、車両の検修に関してやや柔軟性に欠ける部分がありました。
例えば、運転区所には、運用中の車両に関するデータや状態など逐一把握できます。
ですが、その車両ひとつひとつの部品に関する知識が、浅い事が多いのです。
工場にはその手の専門家がたくさんいるため、部品の知識に長けています。
そのかわり、運用中のデータや状態などを知らない。
これらのデータや知識などを幅広く共有化するために、
総合車両所と言うものが出来ました。
こうする事によって、
交番検査などの運用中の車両で、
ドアや機器などの検査に、全般検査でその部品を検修している専門家が行って、
検査をする事が出来るのです。
このような、全般検査(オーバーホール)から交番検査(メンテナンス)までを、
一貫して検査することを「一貫検修」と呼んでいます。
また、車両に故障が発生して、部品を交換しなければならない場合、
その手の専門家に要請して、すぐに交換に行けるという、
フットワークの軽さもウリです。
本当に専門家か? と言われたら、少々どころか相当悩んでしまうんですけんどぉ。後藤も何度も行ってるし。
ちなみに、後藤の記憶が正しければ、
初の総合車両所は、博多にある新幹線の博多総合車両所だったはずです。
(開設当時は、「博多総合車両部」でした)
総合車両所にもいろいろあって、
網干総合車両所のように、工場の移転に伴って合併した所もあれば、
後藤総合車両所や鎌倉総合車両所のように、
工場の近くにある運転区所と合併した場合もあります。
ちなみに、東日本の新幹線、仙台総合車両所は、
同一箇所にありながら、昔は仙台工場と仙台新幹線第一運転所に分かれていましたが、
のちに統合されました。
JRや大手私鉄など、車両基地が多数ある会社の場合、
工場と運転区所とで分かれている場合が多いのですが、
中小私鉄の場合は、基本的に工場と運転区所が一緒になっているので、
総合車両所という考え方は決して新しいものではないのではないかなと、
思った次第であります。
どうでもいいですが、
後藤は今のところ総合車両所にしか勤めた事がありません…。
(運転所に兼務した事はありますが…)