界磁添加励磁制御


国鉄末期に開発され、

JR民営化後しばらく流行した制御方式が

この界磁添加励磁制御(かいじてんかれいじせいぎょ)です。

この制御方式は、実際は抵抗制御方式とほとんど変わりがないものです。

じゃあどこが違うのかというと、

弱め界磁制御方式でもお話したとおり、

弱め界磁制御で使っていた、分流回路の抵抗の変わりに、

補助回路で作った電気を分流回路に流し、

分流回路へ流れようとする電気と逆の方向へ電気を流して、

界磁に流れる電流を制御しようというものです。

ついでに、抵抗制御方式では出来なかった、

回生ブレーキ回路を組んだりも出来ます。

抵抗制御電車とほとんど変わりがないということで、

抵抗制御電車からの改造車もいたりします。

営団地下鉄5000系なんかは、抵抗制御から界磁添加励磁制御へ改造されています。

抵抗制御に電子制御を取り入れた画期的な方式として、

今も数多くの電車が走っていますね。

んで、

これ、鉄道誌なんかにさらっと載ってますけど、

弱め界磁制御方式といっしょで、

あんなさらっとした説明文でわかるもんじゃありません。

わかったらそりゃもぉ大したもんです。

実際問題、

後藤もなんとなく概論でしかわかっていません。

ついでに言えば、

界磁添加励磁制御に関しては、深いところまで勉強する前に

在来線電車を卒業してしまった(新幹線に異動した)ため、

あんまり詳しいところを突っ込まれると困っちゃいます。

てことで、

あんまり深い突っ込みはナシの方向でよろしくお願いします。(逃げた)

では、界磁添加励磁制御。



非常に簡単な主回路の模式図です。

主回路中に電子機器が出てきましたよ。

まぁ、この制御方式では、どちらかといえば補助的な役割なのですが。

さて、早速電車を走らせて見ましょう。

この制御方式は、基本的に抵抗制御電車とほとんど変わりませんので、

抵抗制御電車にあったように、

抵抗を順次短絡して、直並列組み合わせを行います。

ただ、抵抗制御そのものは、基本的には低速域で絞ってあるみたいです。

で、抵抗全短絡、並列制御まできたら、

界磁添加励磁制御を行います。

この状態では、電流は下の図のように流れています。



モーターの電機子(A)、界磁コイル(MF)を通って、バイパスダイオード(Dd)を通過し、

抵抗群のほうへと流れています。

界磁添加励磁制御を行うため、

まず励磁装置から主回路へと電気を流す準備が行われます、

2つあるサイリスタには交流の電気が流れています

この交流電流を、サイリスタを使って直流電流へと変換します。

そして、サイリスタから電流を流すと同時に、

分流回路にある接触器(FS)を投入します。

すると、電流は次のように流れ始めます。



主回路電流は、分流回路の方へも流れ始めますが、

ここへ先ほどサイリスタで変換した直流電流が逆の方向へ流れます。

この直流電流を「界磁制御電流」なんて言いますが、

この界磁制御電流が、界磁添加励磁制御のキモなのです。

界磁制御電流を操ることによって、

分流回路へと流れる電流を調整して、

界磁へ流れる電流を制御するのです。

つまり、界磁制御電流を強くすれば、分流回路に電流が流れにくくなるので、

界磁へ流れる電流は多くなります。

逆に、界磁制御電流を弱くすれば、分流回路へ電流が流れやすくなるので、

界磁へ流れる電流が少なくなります。

これによって、モーターの界磁を弱めることが出来ます。

ちなみに、バイパスダイオードを通っていた主回路電流は、

界磁制御電流につられて励磁装置の方へ流れますが、

これは励磁装置内でサイリスタと繋がっているので、

元の回路へと戻ってきます。

これが、界磁添加励磁制御です。

続いて、回生ブレーキ回路がどうなっているかを見てみましょう。



基本的には力行時と似たようなものなのですが。

回生ブレーキ時に発生する電圧を、架線電圧よりも高くしてやることによって

回生電圧を架線へと戻すことが出来ます。

この制御は、界磁制御電流を同じように流すことによって、

分流回路を回生電圧が逆流して、架線へと戻っていきます。

ちなみに、界磁制御電流によってモーターの界磁が励磁されるので、

この界磁制御電流を調整することにより、

回生電圧の調整をすることが出来ます。

なお、回生電流は界磁を通らないようになっています。

なぜなら、界磁の回路にはダイオードが入っているから。

ダイオードは一方向にしか電気を通しません。

だから、界磁に回生電流が流れないのです。

以上が界磁添加励磁制御の概要です。