「省エネ電車」として注目を浴びた201系が採用した制御方式。
これが、「チョッパ制御」です。
チョッパ制御は、初めて半導体を重要なポジションに配置し、
半導体で電車を動かすという、今では当たり前となった技術のさきがけを作った方式です。
そもそも「チョッパ」とはどういう意味なのでしょうか?
「チョッパ(chopper)」とは、「叩き切る」という意味です。
電気を半導体によって「叩き切るように」入り切りすることで、
電気の流れる量を連続的に調整するというものです。
機械的なスイッチではなく、半導体を使うことにより、
機械的なスイッチでは出来ないような、電気の高速な入り切りが出来、
さらに細かい制御が出来るというものです。
ちなみに、一口に「チョッパ制御」といっても種類が複数あり、
抵抗制御電車を改良した「抵抗チョッパ制御」と「界磁チョッパ制御」、
そして「電機子チョッパ制御」があります。
「抵抗チョッパ制御」と「界磁チョッパ制御」が、今までの抵抗制御方式を基本に、
その制御のあくまで一部分に半導体を組み込んだものであるのに対し、
「電機子チョッパ制御」はまったく新しい制御方式です。
この「電機子チョッパ制御」を一般に「電機子」を略して「チョッパ制御」と呼びます。
それぞれの簡略図が下の図です。
抵抗チョッパは、抵抗を短絡させる接触器の一部に変わりサイリスタを挿入し、
発電ブレーキ制御で使ったらしいですが、
これ、資料には国鉄951系とか書いてあるんだよなぁ…。
新幹線の試験用車両の事かなぁ…?
続いて、界磁チョッパ制御ですが、これは民鉄の車両を中心に採用されています。
従来の直巻電動機ではなく、界磁が電機子に対して直列と並列ふたつある複巻電動機を採用。
電機子と並列に入っている界磁(分巻界磁)にサイリスタとフリーホイルダイオードという、
電流を一時的に還流させるダイオードを入れています。
簡単に言えば、分巻界磁に流れる電流をサイリスタで制御し、
それによって速度を制御しようという方式です。
そして、電機子チョッパ制御。
これは、サイリスタが電動機に流れる主回路電流そのものを入り切りし、
速度を制御するもので、他のふたつとはまったく違うものです。
詳しい事は、次の項で説明します。
こうして生み出されたチョッパ制御なのですが、
半導体を採用した初期段階の車両であることなどによる故障や不具合、
いろいろな問題等もあり、あんまり流行りませんでした。
結局、JRでは抵抗制御を改良した界磁添加励磁制御がブームとなり、
その後VVVF制御へと繋がっていきました。
しかしながら、半導体を使った制御方法の一種としてのさきがけでもあり、
その技術は高く評価されるべきだと思います。
それでは、次の項で電機子チョッパについて詳しく説明します。