2003夏 関西乗りつぶし後編
阪堺さんでいく下町の旅


 さて、久しぶりの日本橋をぶらついたあと、予定よりも少々時間は早いけど、阪堺電車に乗ることにする。

 日本橋のでんでんタウンから南へちょっと歩いたところにある、阪堺電軌恵美須町駅。おや、というところにあるから、案外見逃しがち。

 車両は既に入っていて、いわゆる「軽快電車」タイプといわれる700。とりあえず、一番前の席が空いていたので、そこに陣取って一路浜寺駅前へ。料金は、大阪市内、もしくは堺市内での乗り降りであれば200円(我孫子道で切り替わる)。またがって乗車する場合は290円。基本的には均一運賃で、それを越える場合に料金が加算される、というわかりやすいしくみ。
 電車は後藤を含めて6人ほど乗せて、13時49分恵美須町駅を発車。南霞町でもう少し乗客を増やし、軽快に南下する。

 併用区間に入ると、軌道に車も乗り入れてくる。まぁしかし、道路に対して軌道が片側に寄っているので、仕方ない部分はあるんだけどね。軌道敷きがアスファルト舗装だから、軌道保守のときは大変だろうな…。広電はほとんどの区間が御影石敷きだし。御影石が使われるのは、剥がすのが比較的簡単ってのもあるんだよな。

 いやしかし、この光景は広島育ちの後藤としては信じられん。広島だと、信号待ちのときに軌道に車が入り込むってことはないし、もし入り込んでたとしても電車と運転士がものすごーくプレッシャーをかけるもんなぁ。ここでは、阪堺は軌道乗り入れを認めてるんだったっけ? 電車があんまり強くないってのもあるだろうし。それに、大阪特有の路駐が多いってのもあるだろうな。
 阪堺って、車との衝突事故って起きてるんだろうか? 広電は、1年に2件か3件くらいは起きてるけど。そのほとんどが、右折禁止場所での車の強引な右折に、電車が衝突するってやつな(巻き込みが多い)。まぁ、あらゆる意味で必ず車が負けてますけど。

 住吉で上町線と交差。そういえば、平面交差通るのって初めてだなぁ。広電に平面交差無いもんなぁ。平面交差の先には、上町線と合流するポイントも。ここで、上町線の我孫子道行きと合流。

 運転の拠点になる、我孫子道に到着。運転士はここで交代。運用のカードを見ると、ここを起点に1往復が基本で、それの組み合わせで運用を組んでるみたい。(我孫子道→浜寺駅前→恵比寿町→我孫子道を何度か繰り返す)
 車両基地で昼寝中の電車を見ながら大和川の橋梁を渡る。専用軌道はけっこう飛ばして、広電宮島線でも味わえる路面電車特有のヨーイングを感じながら南下を続ける。

 今度はセンターリザベーション。一応分離はされてるけど、車が乗り入れてこないだけで基本的には併用区間と同じ。でも、センターリザベーションはけっこういいと思うけどな。個人的に、これからLRTを導入しようとしてるところは、センターリザベーションか、もしくは完全分離で作って欲しいと思う。

 浜寺駅前に到着。木造の、なんというか、軌道線の駅舎らしい駅舎。ちょっと違うけど、広電の廿日市駅もこんな感じじゃなかったっけ?
 さて、今度は住吉まで移動するため、南海電鉄の浜寺公園へ移動。道をまっすぐ歩けばすぐに駅へと到着。

 なかなかモダンな駅舎。普通が一本着たけど、じっくり見たいからあえて見逃す。昔ながらの窓口の姿を残していて、なんというか、NHKの連ドラに出てきそうだよな。さて、ここもスルKANで入場。するんだけど…。ん?

 なんかこんな表示がある。ほへ? なんじゃこりゃ、と思って左に首を回すと。

 なんじゃあ、このへんちくりんな線路配線は。すごいなこれ。初めて見たよ。図にするとこんな感じ。基本的には、2面3線なんだけど、1面1線の先に分岐をつけて、1面2線を作り出しているという、ものすごい線路配線。よって、追い抜き列車があるときは切り欠いた方に停車して、無いときはそのまま本線に停車するという。朝夕のラッシュ時間帯にしか、追い抜き電車はないみたいだけどね。
 ラピートを一本見送って、やってきた14時50分発の難波行き普通に乗車。住吉大社を目指す。

 南海は、なんというかやっぱり南海らしさがあるね。大阪の下町臭さというか、どこか垢抜けない感じが南海っぽい。在阪大手私鉄5社の中で、唯一1067mmの軌間を採用してる(近鉄もそうだけどさ)ってのも、なんかそういう雰囲気が出るのかもしれないけど。そういえば、近鉄も1067mmは南部方面に固まってるよなぁ。
 さて、列車は住吉大社に到着。階段を下りてすぐ横に、阪堺上町線の住吉公園駅がある。

 南海の高架横に立つ、なんというか日陰な感じの駅舎。でも、これもなんか浜寺駅前と同様で「阪堺」ちっく。というか、下町っぽさがあるよな。
 ここでも来た電車に乗るつもりだったんだけど、また来たのが700で、同じタイプに乗るのもなぁ、と思って見逃し。ロッテリアのロッテシェーキーが100円で売ってたので、それを買ってゆっくりと飲みながら次の電車を待つ。
 ホームには金魚のいる水槽もあって、なかなかの清涼感。のんびりとした感じで心も和む。

 カーブした先にすぐ住吉公園駅のホームがあるので、ポイントは曲線ポイントになってる。しかもこれ、シーサスクロッシング(ダイヤモンドクロッシング)の曲線ポイントなので、ただでさえ特殊分岐器なのに余計に特殊分岐器になってる。保守が大変だろうな…。
#ダブルスリップとか、曲線ポイントなんかは、出来る限り無い方がいいのです。

 さて、やってきたのは広電にも同様のタイプがいる(広電900)350。これ、確か大阪市電にあったタイプで、当時としては最先端のデザインだったらしい。
 住吉公園を発車すると、さっき通った阪堺線を平面交差で乗り越えて、専用軌道へ。ここで南海高野線を乗り越えて、天王寺へ向かって北上。また併用軌道に戻るものの、ここも道幅狭っ! しかも、電停と道路沿いの民家の壁の間に自転車が止めてあったりして、車はそこを通れない状態。っていうか、もともと電停と民家との幅が小さいから、大きい車だと通ろうと思わないだろうな…。
 帝塚山三丁目で、某有名私立の制服を着たおにゃのこ達が乗ってきて、またも(以下略)。ブルーの制服がきゃわいかった。(w
 専用軌道に戻るものの、終点間近の松虫でまた併用軌道に戻る。今度は交通量が多く、とても危なっかしくってスピードが出ない。あぁぁ、なんだ、この車の運転は…。見てるこっちが怖いぞ…。
 やっとの思いで電車は天王寺駅前へ到着。これで、阪堺軌道も完了。変化に富んだところで、なかなか面白い路線でした。機会があったら、ぶらり旅でもやってみたいと思った。

 天王寺駅前の歩道橋から、阪堺天王寺駅前を撮影。このへん、ものすっごく交通量が多いんだよな。さて、これで今回の旅程はすべて終了したんですが、しばらく時間があるからどうしようかなー、どっか乗りに行くってもちょっと時間が足りんよなー、と思って、結局日本橋に戻って時間をつぶすことに。

 天王寺駅から公園→新世界→通天閣と歩いて恵美須町の交差点に戻りました。天王寺公園の通りは、まぁ、あれだね。西成のドヤが近いから、そういう雰囲気がやっぱり出るんだろうな…。新世界から通天閣のあたりは、独特の雰囲気。実はここら辺って、あんまり歩いたことがないんだよな。
 てことで、日本橋でしばらく時間をつぶしたあと、新大阪へ向かい、大阪をあとにしました。楽しかった大阪旅行も、これで終わりとなります。

 無事、ホームタウンの博多へと到着しました。


前のページへ 前編へ 中編へ