これも抵抗制御方式と多いに関係があるのですが、
この制御方式のみを使って電車を動かす事は、まずありません。
抵抗制御方式の組み合わせの一種だと思ってください。
さて、前回の抵抗制御方式で説明した通り、
抵抗を次々と短絡して行って電車を加速させていきます。
通常、電車のモーターはすべて直列に接続されていて、
例えば113系などに代表される、2両1ユニット方式を採用している電車では、
1ユニットで8個(2両分)のモーターを直列に接続しています。
すべて直列のままだと、
速く走るため、滑らかに加速するためには抵抗器の数が多く必要になります。
そこで、モーターを途中で直列から並列へと入れ替えるという手法が考え出されました。
これだと、直列から並列に変えた時にもう一度抵抗を使えるようになりますし、
モーターへ入る電圧も大きくする事が出来ます。
また、消費する電力も少なくする事が出来ます。
下のモデル図を見てください。
実際は多少複雑ですが、概要からすればこんな感じです。
電車が加速を始めたばかりのころは、直列になっています。
図だと、真ん中のK1の接触器が入っています。
すると、電気は抵抗器を通って、モーター1から4までを通り、
K1接触器を渡って下の段の抵抗器、モーター5から8までを流れます。
電車が加速するために抵抗器を短絡し、すべて短絡しおわると、
今度は並列へと移ります。
抵抗器の短絡R1Sが切れるとともに、K2とK3の接触器が同時に入ります。
ちなみに、K1接触器もほんの少しの間同時に入っています。
この直列と並列の回路が同時に入っているのを「渡り」と言います。
そして、K1接触器が切れると、完全な並列回路が出来あがります。
抵抗器が再び短絡されていき、電車は加速します。
これが、直並列組み合わせ制御方式です。
ちなみに、実際の電車では、8個直列か4個直列が2つの直並列状態しかありません。
1両1ユニット車であれば、4個直列か2個直列2つの直並列になりますが。
完全に8つ(もしくは4つ)のモーターが並列に接続される事はありません。
余談ですが。
電気機関車の場合どうなんでしょうか?
以前宮原にいたときに、
国鉄時代にEL検修をしていた人から教えてもらったんですが、
キレイさっぱり忘れました。
だって、機関車の検修とかした事ないんだもん。
F形式(6軸)の電気機関車はモーターが基本的に6つあり、
うち4つが2組ずつの永久直列(2個の永久直列が2組)。
残った2つが、それぞれ同士で直列になったり、
それぞれ2組の永久直列になっているモーターに引っ付いたりするらしいです。
6つ全部のモーターが直列になっているのを「直列段(シリース)」
3つずつ2組に分かれて直列になっているのを「直並列段(シリースパラ、もしくはシリースパラレル)」
2つずつ3組に分かれて直列になっているのを「並列段(パラ、もしくはパラレル)」
と言います。
ちなみに、新形式は違いますけど、機関車は基本的に手動進段なので。
自分でノッチ進段をして、最後に直列、直並列、並列を入れていきます。
ちなみに、ELは電車と違った部分が非常に多いです。
1ノッチはいきなり弱め界磁から始まるとか。