車両別リファレンス
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制御方式 | VVVFインバータ制御(IGBT素子) |
連続定格出力 | 6600kw/6両 |
最高速度 | 260km/h |
台車 | WDT205K |
主電動機(MM) | MT500K 275kw |
編成定員 | 392名 |
Mc | Mp | M2 |
主変換装置(CI)×1 | 主変圧器(MTr) | 主変換装置(CI)×2 |
3両1ユニット構成で、それぞれ上の図のものが背中合わせで並んでいる。
ユニット構成の基本になる主変圧器はMp車に搭載。3両分を賄う。
Mc車に主変換装置(CI)を1台、M2車に主変換装置(CI)を2台搭載。Mc車は自車のみ、M2車はMp車の主変換装置を搭載している。
JR西日本の700系7000番台をベースに開発された、九州新幹線用の車両。2003年に日立製作所笠戸事業所で5編成30両が一括して生産された。
従来の700系の基本構造を基にしているが、先頭形状を大幅に変更した。従来型の形状を基に空気力学により設計を行い、700系とは違う特徴的な先頭形状になった。ただし、断面変化率は700系と同様であるらしく、微気圧波対策が十分に取られている。先頭以外の車体構造は700系とほとんど同じで、アルミ合金中空押出し形材による車体になっている。標識灯も左右に3つずつ縦に配したHIDを装備し、後部標識灯は先頭ボンネットの連結器カバーにLEDのものを設置している。
台車はJR西日本の700系に採用されているWDT205AをベースとしたWDT205Kが採用された。JR西日本で実績のある軸ハリ式台車で、全ての号車にセミアクティブサスペンションを搭載している。
パンタグラフはJR東日本のE2系1000番台で採用された低騒音シングルアームパンタグラフを採用している。ただし、耐雪対策は省略してある。700系のものとまったく違い、パンタグラフそのものを走行風の中に晒すため、極力空力騒音が低減出来るような構造になっている。パンタグラフの台枠全体を滑らかなカバーで覆ってあるほか、700系ではカバーで覆われていた碍子やケーブルヘッドなども、低騒音碍子としてひとまとめにしてある。また、パンタグラフが架線と擦れる音を遮断する側壁もない。これにより、車体の軽量化を図れるほか、パンタカバーが受ける空力抵抗による乗り心地の低下がなくなるために、乗り心地の向上も図れている。パンタスリ板体や枠の基本的構造は700系と同様だが、パンタ台枠より下側が大きく変わっている。
特高圧引き通し線は直ジョイント方式を使用し、各号車間を直接ケーブルで接続している。なお、ユニットの違う3−4号車間は五度傾斜ケーブルヘッド方式による接続となっている。
空調装置は700系とほぼ同様のAU500Kが採用され、1両に2基搭載している。ただし、空調用コンプレッサーは700系と違い2台だけ搭載されている(700系は冷暖房用に2台と盛夏時の冷房専用に1台の計3台搭載している)。冷房能力そのものの容量も700系よりも大きいらしい(確認は出来てないけど、700系は58000kCal/h、800系は65000kCal/h)。暖房時は電気ヒーターにより加熱した空気を温風として車内へ送りこんでいる。
車内設備は全て普通車の2×2列席となっている。座席そのものは木製の座席筐体が採用されているが、軽量化などのためらしい(ホントかよ)。テーブルも肘掛内部に納める比較的小さなものが設置されている。また、端部の席には安定化電源により供給されるパソコン用コンセントが設置されている。車内の彩色は、客室内は白基調、デッキ部は黒基調としている。インテリアも和風を意識して、カーテンは700系のロールブラインドタイプであるが、桜材を使ったすだれを使っている。トイレのカーテンにはい草の「縄のれん」を、電話室には暖簾を配している。
ATC装置はデジタルATCによる1段制動が採用された。そのため、運転台の速度計などはすべてモニタ上に表示されるタイプとなっている。ちなみに、モニタは3台設置されており、1台は運転席正面の速度計・ATCなどの運転用モニタ。もう2台が運転ナビゲーション画面や車両状態、車内サービス、検修機能などを表示する通常のモニタになっている。なお、運転台の基本構成は、700系のデジタルATC対応車とほとんど変わらない。
当面は東海道・山陽新幹線から離れた区間での走行となるために、U001編成のみ、総合試験車としての運用も出来るように車内に検測装置が備えられている。
なんというか、すごーく九州らしい車両。新幹線でもここまでロゴとかマークを配するかという感じ。インテリアも相当凝っていて、さすがは九州という仕上がり具合になっている(というか、デザイナーの趣味のような気もするが)。製造メーカーも日立のワンメイク。新幹線車両としては、初めてじゃないかな?
先頭形状は700系のカモノハシから変わってなんともいえない独特の形。700系ほど賛否の声は聞かないけど、これはこれで「妙」だと思う。実際問題、真横から見たラインは700系のほうがかっこいい様な気がします。この形で700系と同じ空力性能と言うんだから、おもしろいものです。ただ、東海じゃ絶対に採用しないだろうなこの先頭イメージは。窓周りの黒塗装や屋根上に立ち上がって行く赤塗装などは、レールスター用の700系や500系と同じデザインコンセプトだと思う。
先頭部以外の中間車や床下機器はJR西日本の700系とほとんど同じ仕様。主変換装置なんかもほぼ同じものが取り付けられているみたい。ただし、乗ったときの素子の駆動音がやや小さく感じたので、たぶん素子かソフトウェアはE・B編成よりもバージョンの上がってるものかもしれない(MT比率が違うので、ソフトウェアは違うはず)。先頭車以外の床下配置はE編成とよく似ている。ただし、3両ユニットに4両分の機器を詰め込むために、いろんなところにいろんな機器を詰め込んでいる印象。先頭車も、E編成では床下にあった配電箱が、運転台後ろの本来は出入り口デッキのある場所に移っている。これは、コンプレッサーが700系では2位側にあるのに、800系では1位側にあるから。機器配置が変わった理由は、詳しく説明するとめんどくさいので略。ひとことで言えば、全てはMMBM(主電動機送風機)のせいか。
個人的には、検修サイドにものすごい負担を与えそうな車両だと思う。車体装備そのものから客室内のサービス関係などなど、ブラインドカーテンのすだれは指で引っかいたら下手したらバラバラになりそうな気もする(カーテン替えるには化粧板を外さないといけないしな)。先頭部のHIDも、切れたら一番先頭側のヤツは変えにくいだろうなー。ちなみに、車体周りにベタベタと貼っているロゴなんかは全部スライドデカールなので、割と剥がれやすかったりするんだよな…。
700系をベースに開発したことだけあって、さすが700系はスタンダードに限りなく近い車両だと思った。台湾高速鉄路用にも700Tを納入したしな。