車両別リファレンス
新幹線車両 300系



・諸元

制御方式 VVVFインバータ制御(GTO素子)
連続定格出力 12000kw/16両
最高速度 270km/h
台車 TDT−203(J編成)
TTR−7001(J編成)
WDT−203(F編成)
WTR−7001(F編成)
主電動機(MM) TMT3 300kw(J編成)
WMT3 300kw(F編成)
編成定員 1323名

・ユニット構成

M1 Tp M2
主変換装置 パンタ、主変圧器 主変換装置

3両1ユニット構成で、M1−Tp−M2の順で並んでいる。先頭1ユニットのみ、Tc車があるため4両で1ユニットになる。
ユニット構成の基本になる主変圧器はTp車に搭載。3両分を、1ユニットのみ4両賄う。
M1車とM2車に、自車の主変換装置(CI・PC)を1台搭載。

・説明

 JR東海が東京〜新大阪間を2時間半で走行するため、1990年3月に量産先行車J0編成が登場。最高速度270km/hを出すために、数々の新機軸が採用された。基本的には、国鉄時代から構想されていた「スーパーひかり」構想からきており、軽量化、低重心化、空力向上、主変換装置と誘導電動機の採用などにより開発された。約2年間の走行試験によって各種のデータ蓄積のほか、1991年2月には当時の日本最高速度325.7km/hを記録した。1992年から量産が始まり、「のぞみ」として運転を開始。1993年にはJR西日本も導入し、東京〜博多間の運転を開始した。
 ユニットは従来の2両1ユニットから3両1ユニットになった。全体で5ユニット構成となっている。1号車のみユニットからあぶれるが、1ユニットのみ実質的に4両1ユニットの構成になっている。車体は、アルミ合金製となり100系と比べてかなりの軽量化がされ、先頭部も0系や100系とはまったく違う形となった。高さも低くなり、トンネル突入時に微気圧波が上方へ抜けるようになっている。機器は100系と同様の床下吊り下げ式にフサギ板でカバーをする方式が取られている。なお、フサギ板はステンレス製となった。
 パンタグラフは、従来型の下枠交差パンタグラフが採用されたが、高速走行時の架線追従性を良くするために2本あるスリ板体が1本ずつ独立して動くようになっている(0・100系はスリ板体が2本が固定されている)。また、風切りによる騒音防止のためパンタグラフカバーも2車間に渡る大きなものとなった。試作編成では各Tp車に搭載していたが、量産車では6・9・12号車のみ搭載され、各パンタグラフを特高圧引き通し線で引き通し、パンタ離線時のアーク発生を抑えている。引き通し線の車両間渡りも、試作編成では100系と同様のガイシが設置されていたが、騒音防止のために五度傾斜ケーブルヘッドが採用された。なお、パンタグラフは博多方面(下り)走行時は9・12号車を、東京方面(上り)走行時は6・9号車を上昇させて走行していたが、9号車の乗り心地を向上させるために、9号車のパンタグラフとカバーを撤去し、6号車と12号車のふたつを使用することにした。また、パンタカバーの形状も変更している。700系登場後、更なる乗り心地向上のため、パンタグラフをシングルアームパンタへと変更し、1車に収まる位置に設置されパンタカバーもガイシカバーと遮音側壁の組み合わせへと変更された。同時に、引き通し線も直ジョイント方式へと変更された(4−5、8−9、12−13号車間を除く)。
 主変換装置はM1車およびM2車に搭載され、自車のみ駆動させている。GTO素子を使ったPWM制御の主変換装置で、J編成では「CI」、F編成では「PC」と呼んでいる。内部は、コンバーターを2台、インバーターを1台搭載し、三相誘導電動機を駆動させる。
 車内設備も低騒音化や軽量化が施されており、ドアもプラグドアが採用されたが、途中から通常の引き戸式へと変更された。座席も軽量化が図られており、普通車はB席が若干大きい。J編成とF編成では車内の仕様が若干違い、座席モケットの色や化粧板の色などが違う。また、グリーン車の座席も違う。サービス設備も100系よりも簡略化され、7・11号車にサービスコーナーが設けられた。

・後藤の解説

 とにかく手間のかかる車両。交検とかのメンテナンス的にも、全検でのオーバーホールでも、かなり手間がかかる。新幹線としては初めてとなるものをいろいろと装備しているため、とにかくいろいろな問題が出てきた。年代的には、100系と500・700系の渡し役的な形になっている。100系までの設計的な思想を残しながら、新たな技術や新機軸を導入し、以後の500系・700系へとつなげている。
 いかんせん、床下機器配置がパズルのような感じに組み合わされていて、検修する側のことをぜんぜん考えてねえだろう、と言いたくなることが多い。ナットを留めるのにインパクトが入らないから仕方なくスパナを使ったり、そのスパナでさえも配管がジャマではまり難かったりと。そのほか、毎検査時に扱うコックを収めてあるふたも、別のコックがそのフタの上にあるから、フタが完全に開かなかったり。この設計の仕方はホントにどうかと思う。
 西の短編成化は、次は300系という噂もよくあるし、実際そんな風の頼りも聞くけど、よく言われる単純な編成組み換えでは走れない。3両1ユニットといっても、1号車はT車なので、そのまま使うことは出来ないのだ。また、4両編成にするといっても、物理的には可能だけど原理的に無理が出ると思う。それに、単純な組み換えをしたら、トイレの位置がバーラバラ。
 登場当時、新幹線物語というドラマの舞台にもなった。確か、新人の車内販売員の話で、当時は300系がエースで100系がバリバリ走ってたころだった。毎週見てた覚えがあるなー。