全般検査(台車)・台車検査


・前置きと台車検査

台車の検査ラインのお話に入る前に、まず前置きを。

まず、後藤は台車に関しては門外漢です。

なので、知っている程度のホントに大まかな概略程度の説明なので、

ご了承ください。

んで、

台車検修は、基本的にライン作業で流れています。

そのため、全般検査の台車と、台車検査の台車は、

「基本的に」同じラインを流れています。

そのため、同じ図を使って説明をしたいと思います。

何が違うのかというと、

検修する中身が違います。

その事は本文中で説明します。

次に台車検査ですが、

この検査は基本的に、車両の台車を差し替えて終わりです。

博多の場合、8両を一気にジャッキアップできる設備があります。

大阪(鳥飼)は4両を一気にジャッキアップするようです。

台車検査を受ける車両は、まずこの線へ入ります。

16両編成の場合は、2回に分けて行います。

車両をジャッキアップして台車を抜き取り、

あらかじめ検修してあった台車と入れ替え、車両を下ろして車体とつなぎます。

その後、台車の調整等を行い、試運転をして台車検査は終了となります。

全般検査が半月から1ヶ月の工程で行われるのに対し、

台車検査は1日で終了します。

基本的には「台車を入れ替える」というのが台車検査です。

では、台車検査で抜き取られた台車、および全般検査の台車は、

どのような工程で検修されるのでしょうか。

というのが、次からの項目です。


・台車検修のライン

前置きで書いたように、

台車検査は、あらかじめ検査の終了してあった台車と差し替える方式をとっています。

全般検査は、車体と分離された台車を検修し、再び車体とつなげます。

どちらも、場合によっては新品の台車を入れることもあるのですが。

では、台車のラインがどのようになっているか、

下の図にまとめてみました。



まず、車両から抜き取られた台車が入場してきます。

台車を抜き取った時、一時的に「プール場」というところに置くのですが、

ここで入場点検をするらしいです。

で、場合によっては一部の部品をここで取り外すこともあるとか何とか。

さて、台車がラインに入ってくると、まずは解体を行います。

ここで台車を大きく分けて、モーター(MM)、台車枠、輪軸、そしてその他の部品に解体します。

モーターは、その名の通り駆動力を伝える電動機。

正確には「主電動機」と言うので、現場では「MM(メインモーターの略)」と呼んでいます。

台車枠は、台車の各種部品を支える枠。

輪軸は、車輪とその軸、そしてそれを支える軸箱の部分。

その他部品は、空気バネや増圧シリンダ、オイルダンパなどです。

これらの部品を分解し、各職場に送っていきます。

オイルダンパや増圧シリンダなどの部品は、各職場で分解、検修を行い、

再び組み上げられて戻ってきます。

モーターは、MM職場で同じように解体、検査を行います。

最近はVVVF駆動が増えたため、モーターも交流誘導電動機になって、

検修箇所がかなり減ったそうです。

モーターを検修して組み上げ、回転試験を行って台車検修ラインへ戻ってきます。

台車枠は、枠大修、枠修と呼ばれる工程を通ります。

詳しい違いは知らんのですが、要するに枠の検修を行います。

枠に歪みやヒビが生じていないかなどを調べ、修繕を行います。

さて、輪軸なんですが、輪軸はもうちょっと細かい工程があります。

台車解体をされた後、続いて軸箱を取り外します。

軸箱は、輪軸と台車枠をつなげるためのものです。

軸箱も、専門の職場へと送ります。

そして、輪軸の超音波探傷を行います。

超音波探傷とは、車軸の中に探傷器を突っ込んで、

軸の傷を超音波により調べるものです。

最近は、車軸は中空軸になっているので、

軸の中は空洞なのです。

要するに、車軸が筒状になっているわけですね。

次に車輪と車軸を分離して、それぞれの箇所に送ります。

車輪は使えるもの使えないものの判定をして、

使えるものはバランスの測定を行ったりします。

車のタイヤのように、電車の車輪にも重心の偏りが若干あります。

これを、輪軸を組んだ時にバランスが取れるようにします。

分離された車軸は、磁粉探傷を行います。

これは、車軸を一時的に磁化(磁石にする)して、鉄粉のいっぱい入った液体をかけます。

すると、傷のあるところに鉄粉が集まります。

ここで傷の有無を判定したら、次へ送ります。

次は、駆動装置です。

現場では「GK」などと呼んでいますが、「ギアケース」の略です。

モーターの駆動力を車軸に伝える大変重要なものです。

このギア(歯車)を検修します。

これを終えると、再び車軸に車輪を圧入します。

ちなみに。

場合によっては車輪踏面(レールに触れるところ)の研削を行ったり、

新品の車輪や車軸に取り替えたりします。

個人的には、

台車も部分的には消耗品だと思っています。

さて、車輪と車軸が組みあがったら、こんどは軸箱を取り付けます。

これで、輪軸の検修はほぼ終了です。

さて、組みあがったこれらの部品を、台車組立に送って組み立てます。

台車枠に輪軸、モーター、いろいろな部品を取り付けます。

一通り組みあがった後、台車走行試験を行います。

これは、台車の上におもりを乗っけて、実際にモーターに電気を送り、

回転するものの上で台車を走らせます。

車の、シャーシダイナモみたいなもんです。

実際に、最高速度での台車回転状態までもっていきます。

割とうるさかったりします。

これが終了すると、台車は出場となり、プール場へと持っていかれます。

そして、車体と組み合わせられると、スペーサーや台車の各種調整を行って、

終了となります。

さて、全般検査と台車検査の違いですが、

検修する内容が違うそうです。

大雑把に言えば、分解箇所が違うとかそういうもんでしょうか。

後藤は解ギ装屋さんだったので、

台車の事はほとんど知りません。

工程もだいぶ端折りましたけど、

こんなもんということで…。