MT比って知ってますか?
電車の編成中、M車(電動車、モーターの付いている車両)と
T車(付随車、モーターの付いていない車両)の比率の事なんですが。
今回はこのお話です。
例えば、103系4両編成が、
クハ−モハ−モハ−クハ
で編成を組んでいた場合、M車(モーターの付いてるモハ車)は2両、
T車(モーターのない車、クハもしくはサハ)は2両なので、
MTは2M2T、MT比は1:1になります。
115系の6両編成が、
クハ−モハ−モハ−モハ−モハ−クハ
で編成を組んでいた場合、MTは4M2Tですので、
MT比は2:1になります。
205系が10両編成で
クハ−モハ−モハ−サハ−モハ−モハ−サハ−モハ−モハ−クハ
で編成を組んでいた場合、MTは6M4Tなので、
MT比は1.5:1になります。
要は、こういうことです。
M車とT車の数を表したものがMTで、それを比率にしたのがMT比です。
それぞれ電車には適したMT比と言うものがあります。
103系は1:1がちょうどいい設計らしいです。
ところが線区によって車両の使い方も違うので、
MT比をそれに合わせて変更したりもします。
また、103系はM車を2両1ユニットで組んでいるため、
3両編成の場合はどうしても2M1T、1.5:1となってしまいます。
MT比に余力が出るのは別にかまわない事ではありますが。
なお、103系はほとんどが1:1のMT比になっていますが、
武蔵野線で使われていたころにはMT比3:1という強力な編成がありました。
ちなみに、阪和線にもあります。
8両編成で6M2Tという、なかなかイカした編成です。
武蔵野線の場合、高速路線かつ比較的工程差の多いところを走るため、
MT比が1:1だとダイヤがキツイらしいのです。
今まで6両編成で4M2T、2:1を組んでいたのですが、
乗客の増加に伴い、8両編成にすることにしました。
8両編成を組むには、4M4Tか、6M2Tしかない。
でも、きちんと定時運行をしなければならないので、6M2Tになったそうで。
ちなみに、6M2Tの103系の加速は、なかなかイカした加速だそうです。
103系は、もともと加速がいいから…。
なお、車両の数の関係で、どうしても適正なMT比を組めない場合、
速度種別を下げて運行する事もあります。
つまり、ダイヤを編成に合わせて組むと言うことです。
長野オリンピックの時、臨時で走った381系「しなの」は、
4両編成2M2Tの編成を2つ繋いで、8両編成で走ったそうですが、
中央本線の山岳路線と言う性格上、またMT比1:1という関係上、
速度種別を下げて走ったそうです。
なお、最近は最初っから適正なMT比を定めて、
それに合わせて車両を作る方式が増えています。
ほかの会社は知りませんが、東海は313系を作るとき、MT比を1:1にしています。
4両編成や2両編成なら、クハ−モハ−サハ−クモハ、クハ−クモハで組めますが、
3両編成の場合どうしましょう?
なんと、中間モハを0.5Mにしたのです。
つまり、片方の台車はM台車、もう片方はT台車です。
こうすることで、313系3両編成は1.5M1.5Tという、MT比1:1に出来たのです。
西日本は、MT比を1:2に設定しています。
M車1両につき、T車が2両。
そのぶん、M車のモーターは強力なものになります。
この適正なMT比に合わせるために、
223系の2000番台からは、0.75Mというものが登場しました。
これは、1000番台の場合、8両編成を組んだ際、
クハ−モハ−サハ−サハ−モハ−サハ−サハ−クモハ
だと、3M5Tとなって、MT比が1:1.67とやや過大気味になります。
そこで、クモハ車を0.75Mとし、MTを2.75M5.25Tとすると、
MT比は1:1.91と理想値に近くなります。
4両編成だと、
クハ−モハ−サハ−クモハ
でMTが2M2T、MT比1:1となってしまいます。
そこで、モハ、クモハともに0.75Mとして、MTを1.5M2.5Tとしました。
すると、MT比は1:1.67と、ある程度近くなります。
ちなみに、もうひとつモーターを少なくすれば、1.25M2.75Tとなって、
MT比が1:2.2となってしまいます。
こうすることで、コストの削減などが測れると言うことです。
ちなみに、このモーター3つの車両は3000番台で区別されています。
モーター3つ搭載だから「3000番台」なんです。(マジ)
なんかややこしいお話ですが。
御理解頂けましたでしょうか?
→2003/10追記
2003年から増備された223系2000番台ですが、
0.75Mの3000番台がなくなって、4軸すべて電動軸の
2000番台に統一されました。
何故にそうなったかってのは、公表されてないみたいですが、
後藤はなんとなくわかるなぁ…。
3000番台がこの後どうなるかも気になるし。