関西2006五月シリーズ その5
近鉄南びわこ線編


 長いことやって来たこの「関西2006五月シリーズ」も、これでいよいよ最後。研修もそろそろ佳境で、お出かけできるのがこの日だけになったので、目星をつけていた大物を攻め落とすことに決定。

5月27日
 さて、吹田からJR京都線を普通と新快速で上る。今回は、鉄馬さんに京都で合流していただき、本日の行程をご一緒していただくことに。
 新快速の223系は快足を飛ばして琵琶湖線を駆け、米原へ。

 駅構内の整備で、在来線側の駅舎はこじんまりとした建屋に。その駅前のロータリーを挟んで近江鉄道の駅舎があるんだけど、もともとはここのロータリーも駅構内で、近江鉄道の駅舎とJR(国鉄)の駅舎は隣り合ってたそうな。近江鉄道の駅舎は、な〜んか怪しい雰囲気。
 だけど、そのJRの駅舎の傍らを見ると。

 短めのホームを新設する工事をしてる。どうも、その先に高架主体の線路を建設しているようで、近い将来、近江鉄道もけっこう大規模な線路の移設をするみたい。
 ちなみに、この先にJR総研の風洞実験施設があるみたい。米原周辺にはいろんな企業の研究所とか工場が集まってるみたいで、自治体も平成の大合併で「米原市」になったのよね。そいや、もともとは「米原町(まいはらちょう)」で濁点が付かなかったけど、市制施行する時に駅名と同じ「まいばら」になったそうな。地名に駅名が勝った例といえるのでわ。
 さて、ロータリーをぽつぽつと歩いて近江鉄道米原駅へ。

 良い言い方をすれば「味のある」悪い言い方をすれば「怪しい」駅舎。2階にあって階段を上って入るんだけど、その階段にサイクルトレイン用のスロープが設置してあるという怪しさ。ホームはやや低いところにあって、これは盛土の上に線路を敷いてある関係で、こんな妙な配置になったんだろうな。でも、駅舎をわざわざ高い位置に置いたのは、なんか理由があったんだろか?

 窓口で一日乗車券の「S・Sフリーきっぷ」を購入。こいつ、550円という格安で近江鉄道全線が乗り放題という、すさまじいきっぷ。土日祝日のみ利用可能で、年末年始は使えないみたいだけど、採算に影響与えないのかなぁ? 本線を乗るだけでも、元が取れるし。
 とりあえず、彦根行きの列車に乗り込む。列車は米原駅を出発してJR総研の研究施設の横を通って、すぐ向こう側の東海道新幹線と少しはなれて併走。フジテック前は2006年3月に開業したばかりの新しい駅だけど、そのフジテック本社は東海道新幹線の向こう側。けっこう離れてんじゃん。
 鳥居本の洋風建築の駅舎を見て、線路はなんか山がちに。あれ? 米原と彦根の間にこんなところあったっけ? どこ行くんだ? と思うほど、けっこうな山の中に入って、ついにはトンネルに突入。一体どこを通ってんだか、と思いながらトンネルを抜けたら彦根へ到着。

 車庫を併設して、多種多様な車両が集う彦根駅。JRじゃ見れないような「私鉄らしい」電気機関車や、コスト削減を目指して導入したけど「踏切が動作しない」という珍事まで発生して、いろいろ弊害があったため営業列車から撤退したレールバスの姿も。
 ほとんどの列車が西武鉄道の中古品だけど、それでもよく見てみるとバラエティに富んでるなぁ。
 さて、やってきた列車に乗車して、高宮を目指す。彦根を出発するとJRとキレイに併走して、3複線状態に。分かれたところで彦根口駅に到着。その隣の高宮駅で下車。ここで、多賀線に乗り換え。駅構内は多賀線が扇形のホームに発着して、その向こうに側線がいくつか敷かれていて、使われていない車両がいくつか置かれてた。
 やってきた列車はライオンズカラーの単行列車だけど、走り装置が吊り掛け式らしく、吊り掛け式独特のモーター音を響かせてこれまた快足で走る走る。

 多賀大社前駅はコミュニティハウスになっていて、かなりキレイで新しかった。近くに多賀大社もあって時期によっては大勢の人が訪れるみたいで、臨時改札の入口なんかも設置してあるし、昔は工場の専用線も持ってたみたいで構内はけっこう広くて今でも側線がけっこう残ってた。
 ところでこの側線、いくつかがかなり新しいコンクリート枕木化されてたんだけど、使う予定でもあるんですかね?
 多賀大社まで脚を伸ばしてお参りをしたあと、再び高宮まで戻って本線を南下。しばらく左手の東海道新幹線と併走。近江鉄道は、この東海道新幹線の建設によって鈴鹿山脈の眺望が失われると補償を求めたとかって話があるそうですが、真相は交差する道路の安全確認が出来なくなるから踏切を自動化する補償を求めたってのがホントらしい。確かに通ってみると、ずーっと並行してるし踏み切りもけっこう多いなぁ。
 愛知川の先でいったん離れ、五個荘のすぐ南で新幹線をくぐって別れる。八日市は沿線の中でもけっこう大きな都市のようで、ここで運転系統が分かれるみたい。いったん本線から離れ、接続する八日市線で近江八幡へ向かうことに。

 ライオンズカラーの列車に乗って、八日市を出発。右にカーブを描いたところにものすごく古い駅舎の立つ新八日市。昔は八日市線が別の会社「湖南鉄道」だったらしく、この駅舎もその本社屋だったそうな。で、いろいろ紆余曲折を経て戦時統合で近江鉄道に合併。新八日市と八日市がつながったのは、戦後の話みたい。
 線路は全体的に住宅街と多少の田畑の中を進む、近郊路線。JRと連絡する役割もあるだろうから、割と発展もしてるみたい。先ほど分かれた東海道新幹線をくぐると、近江八幡に到着。

 そいや、同期の中で近江八幡というフレーズが一時流行ったことがあったなぁ。いや、特に深い意味は無いんだけどね。
 再び列車で八日市まで戻り、次は終点の貴生川を目指すものの次の列車まで多少時間があるので、いったん出場してここで小休止。軽く腹を満たしたあと、再び車中の人となる。

 近江鉄道の現在主力となっている800系の種車西武401系とほぼ同じ形を保ってる820系がやってきました。そいや、なんで近江鉄道の車両って車体のカドを切り欠きしてるんでしょね? なんか、支障することでもあるんだろうか。
 八日市を出ると次第にローカルな姿に。こりゃ、レールバスを導入した理由もわかる気がするなぁ。名神高速道路をくぐったところにある京セラ前駅は、「どこに京セラがあるんだ?」と思うようなところ。駅に停車中、周りを見回してもそれらしい駅は見あたらない。で、出発したところで左手奥にその京セラの工場が見えた。駅名からして新しい駅に見えたけど、意外とそうでもなかったし(91年3月開業)。
 水口で古めかしい駅舎を見て、少しまとまった街の中を通る。左にカーブを描くと終点の貴生川駅に到着。これで、近江鉄道は完了。
 さて、貴生川はもうひとつ、信楽高原鉄道も接続しているので、こちらののりばへと向かう。

 信楽高原鉄道の貴生川駅は切り欠きホームに発着していて専用の駅舎を持っていないので、JRとの乗り継ぎを考慮して簡易改札機が設置してあった。これがなかったら、いちいち駅舎まで上がって出入りしないといけないもんね。

 車両も近年型の軽快気動車に乗って出発。信楽高原鉄道といえば、貴生川駅を出てしばらくは急勾配の連続区間で、それだけで全区間の半分を占めるというものすごい路線。実際、貴生川駅を出て平坦な区間を加速していくと、目の前に見た目でわかるくらいの急勾配がデーンと横たわってる。そこから山を一生懸命登っていくけど、近年のパワーのある気動車とはいえ次第に速度もエンジンの音も下がっていく。それでも、国鉄時代よりかはだいぶマシだとか。
 そして信楽高原鉄道といえばもうひとつ。1991年の正面衝突事故。これも、原因は単純ではなくいろいろあるんだけれど、少なくともその原因のひとつでもあった小野谷信号所も、設備はほとんどそのまま残ってた。その先で工事中の第2名神の下をくぐり、勾配が緩くなってきたところで紫香楽宮跡駅。ここから、山間の川沿いをゆっくりと走り、歴史のありそうな名前の付いた駅をたどって信楽駅に到着。

 たぬきの焼き物で有名な信楽焼。駅のホームにも、たくさんのたぬきが置いて出迎えてくれました。駅舎の中には有名な信楽焼で出来たきっぷやみやげ物とともに、あの事故の車両部品なども展示してありました。
 さて、これで今回の行程は終了。そして、この数日後に長かった関西での研修生活も無事に終了しました。
 丸1日お付き合いしていただきました鉄馬さんには大変感謝いたします。どうもありがとうございました。


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