関西2006五月シリーズ その1
六甲山縦横走編


 仕事の都合により、月の2/3を大阪で過ごす事になった2006年5月。これはいい機会だ、と思ったので、残っている関西地区の路線を大方目処をつけてしまおうと画策。大阪に居る間のほとんどの週末を、「乗りつぶし」という名のミニトリップすることにしたのです。まぁ、大阪居る間に滞在してる場所も、あんまり居心地のいい場所とはいえないし、ずっと同じところに居ても身体が腐りそうだったので。
 ってことで、最初の週末となったこの日、朝早くから出発したのです。

5月13日
 この日は、神戸電鉄を片付けてしまおうって事で、とりあえず三田駅へ向かうこととする。基本的に、行き当たりばっ旅ですが。
 滞在中は吹田が起点となるので、基本的には吹田駅がスタート地点。なんですが一番最初に「行くべきところ」へ行き、その後尼崎駅からスタートという形に。ってことで、吹田駅から普通電車に乗って、紆余曲折を経て尼崎駅へ。

 後続の丹波路快速が一番速く三田に着くことは知ってたんだけど、やって来たのが321系だったのでとりあえずこれに乗車。まぁ、滞在中はこれに相当な回数乗ることになったんですけどね。207系のブラッシュアップ版とだけあって基本的には同一のものだし、天井に張り付いている旅客案内の液晶モニターも、こんだけデカけりゃいろんなものを表示できるわな。
 川西池田で下車して、後続の221系丹波路快速に乗車。天候は雨も振る感じであんまり良くはないんだけど、トレッキングに向かう風な人も乗車して、混雑とまでは言わないけど座席が埋まって立つ人も居る、そこそこの乗り具合。運転台後ろのかぶりつきに立って、宝塚から先の長大トンネル区間を抜け、六甲山の裏側へと回る。

 神戸電鉄に乗り換えは、新三田駅じゃなくて三田駅だったよなーと、乗り換え案内の放送を聞いて下車。時々ワケわかんなくなるんだよね。
 ここから、今日のメインイベントを開始。改札を出て、すぐ目の前にある神戸電鉄三田駅へと入る。

 ホームに据えつけられている列車に乗って、公園都市線へと向かう。この車のコンプレッサーが、情けない音だった……。
 横山から右に分かれていくつかのトンネルを抜けると、いわゆる「ニュータウン」の雰囲気に。線路そのものも、やっぱり「ニュータウン開発鉄道」然とした、複線敷きの両側に道路を抱えて、ほとんど直線の線路を走っていく。ただし、敷地が複線分あるだけで線路そのものは単線。車内は、そんなに乗ってなくていわば「閑散」とした状態に近い。

 ウッディタウン中央に到着して、公園都市線は完了。けっこう堂々とした駅舎を持ってるんだけど、実は無人駅。無人駅っても、自動改札と自動券売機、監視カメラで遠隔制御してる、民鉄には割と多いタイプかと。駅には、こんなところにあって契約取れるのかどうか不明な、ソンダフォンボーダフォンショップだけ。
 無人なのは駅だけじゃなくて、付近も閑散とした状態。雨が降ってるせいで、寒いし。遠くに大型ショッピングセンターがあるのが見えて、あとは新興住宅地。特にこれといったものもない様子なので、そのまま横山まで引き返す。

 横山へ戻って、改めて分岐部分を見る。こう見ると、三田線よりも公園都市線のほうが本線に見えるよなぁ。画像の、真正面のトンネルが公園都市線。分岐先は見えないけど、左側に折れるのが三田線。ポイントそのものが公園都市線へ直線が向いてるし、本線であるはずの三田線が「分岐」してる。よく見たら、シングルスリップまで入ってるし。

 ふーん、とか思いながら、やってきた三田線の新開地行きに乗り換え。
 先ほど乗ってきた公園都市線と「分岐」して、山の中を下りていく感じ。乗車率はそれなりで、しばらくは山間に広がった郊外の土地を走っていく。田尾寺から岡場の間は一区間だけ複線。六甲山を下りながら、山の際をカーブしながら下りていくと、少し拓けたところにある有馬口駅に到着。

 ここで一旦下車して、有馬温泉へと向かう。区間運転をしていた列車に乗車して、有馬温泉へ。温泉客らしきひともチラホラ。けっこう距離があるようで、山の中を今度は登っていき、都市高速(山の中なのに都市高速とはこれ如何に?)の高架をくぐりながらトンネルに突入。トンネルを出たところが、終点の有馬温泉。駅から出たところは温泉街のど真ん中で、関西でも有数の温泉地とだけあってそれなりに賑やか。
 朝っぱらからここまで何も食べてないことに気がついたので、駅前のコンビニで軽く食料を調達して腹の中へ納め、乗りつぶしを再開。

 乗ってきた列車が、そのまま鈴蘭台まで行くようなので、これに乗って有馬口を通過し、複線になって六甲山を下りていく。車両の関係なのかもしれないけど、走行音は意外と派手。「ゴー」とか「ガー」とか、風切音の「ヒュー」とか。でも、そこまで飛ばして走るわけでもなく、駅もけっこうあるので割とちょこまかと止まっていくような印象。
 谷上では左側に北神急行が現れる。これは、また後ほど。並んでトンネルに突入するも、向こうは山岳トンネルで、はっきり言えば二度と出ることはないわけで。こちらは開削トンネルみたいで、すぐに出る。向こうは、トンネルがあるであろう横に車両基地らしきものも見えた。
 箕谷から若干登り勾配になって、その名の通りの「山の街」を通過。北鈴蘭台から再び下りに転じて、有馬線の拠点駅でもある鈴蘭台に到着。

 ここで、今度は粟生線に乗り換え。駅の側線に止まってた事業用車が、なんとなく阪急マルーンのような配色だったなぁ。
 駅を出ると、すぐにきっつそうな上り坂。鈴蘭台西口を頂点にして、今度は下り坂に。てか、「鈴蘭台西口」と「西鈴蘭台」って、紛らわしいなぁ。西鈴蘭台から複線になって、となりの藍那で単線に。ただ、複線にするための線路敷きはあるし、旧線トンネルらしきものもあるので、今は複線化の工事をしているみたい。藍那から木津の途中で複線に戻り、押部谷で再び単線へ。このあたりは近郊ローカルな雰囲気。
 志染で乗務員が交代して、割と乗っていた客もどっと降りていった。三木では今度は比較的街の中に入ったりして、意外と変化のある車窓。
 けっこうたくさんの駅に停車して、終点の粟生駅に到着。

 JR加古川線とホームは接してるけど、専用のホームを持っていて改札もスルKANが使える。ここで一旦神戸電鉄から離れて、今度は北条鉄道に乗り換えの予定。っても、1時間に1本しかない北条鉄道のこと、接続が悪ぅ。このあと、接続の悪さが続いてこの一帯で2時間分くらい損した気がする。
 ま、行き当たりばっ旅だからいいんだけどね。

 小雨が降る中、駅の周辺をちょっと歩いてみたりして、ようやくやってきた列車へ乗車。当たり前のようだけど、加古川線の列車と接続を取っている(加古川線そのものが列車本数少ないけど)ので、神戸電鉄とは接続が悪いのよね。
 北条鉄道は、最初のころは初期型の軽快気動車、いわゆる「レールバス」を使ってたけど、近年更新したようで、比較的大型の軽快気動車になってた。車内は学生がほとんどで、沿線の学校に通っている模様。粟生駅を出て左に左にカーブして、180度に近いくらいコーナーを描いたんじゃなかろうか。田園地帯を走っていく、完璧なローカル路線で、北条町まで割と距離はあるみたい。

 北条町の駅は割と最近新しくなったみたいで、地域のコミュニティを兼ねた建物の様子。駅には検修設備を持った基地も併設してあって、開業当初から活躍して現在は予備車的存在になったフラワ1985型が。
 駅前をざっと見て、そのまま折り返し。さっき来た道を戻っていく。帰りは割と乗ってるようで、席がざっと埋まる感じ。経営状態は悪いようだけど、まだもうちょっと頑張ってみようという意欲も見れた気がする。

 粟生に戻って、接続してある加古川行き103系に乗車。加古川線の拠点駅でもある厄神を目指す。てか、この103系のデザインはもうちょっと何とかならんかったもんか。125系のデザインに合わせたいのはわかるけど、似合うとか似合わんとか言うのがあるでしょう。
 さて、厄神についてもこの列車は接続しておらず、再び時間を無駄にする。駅前も特に何もなく、雨がパラパラと降るこの状況じゃ散策をするわけにもいかず。加古川鉄道部の車両基地に回送されていく125系を眺めながら、ボーっと待つ。

 やって来た列車に乗車。ここも、北条鉄道と一緒で、はっきり言えば更新前の車両も更新後の車両も更新時期も一緒。まぁ、もともと加古川線にあった北条線・三木線・鍛冶屋線は兄弟関係みたいなもんだし、北条線と三木線は同じ時期に3セク転換されたからね。
 厄神を出発して、加古川鉄道部の車両基地横を通過。田園地帯を淡々と走っていく、北条鉄道とよく似た感じの路線だけど、こっちのほうが多少家が多いかな、って気がする。1時間に1本しか走らないのに、踏切に捕まった車は運が悪いよなー、とか思う。駅もローカル3セクらしく多いけど、乗降客が居ないようだとドア扱いをせずにそのまま発車する扱いみたい。
 車内もご老人ばっかしの完璧なローカル輸送だし、これは確かに厳しすぎるよなーと思う。

 三木駅到着。街の中心部からは外れているようで、雨も降ってるせいかなんとなく寂しい気分。駅舎は国鉄時代から使ってるもののようで、裏に検修設備があるくらいでいい雰囲気を出してるローカルな駅。
 折り返しの列車で厄神に戻るも、三木発車時点で車内は後藤を含めて3人。途中でひとり降りるも再度ひとり乗ってきて、結局厄神には3人で到着。これは、確かに厳しいと思うわ。2006年度中の廃止が示唆されている模様で、神戸電鉄が神戸方面へ通じてる関係もあって、考えなきゃいけない所なんだろうなぁと思う。
 さて、厄神から再び加古川線に乗車して加古川へ。以前乗りつぶしにきたときはまだ非電化で、キハ40・47がぶろばろ音を立てながら走ってたし、加古川駅も高架工事の真っ最中だったよなぁ。てか、後藤が西明石に住んでる頃から加古川駅の工事本格的にやってたもんなぁ。
 そんな高架になった加古川駅から新快速に乗車し、神戸へ。ここから徒歩連絡で高速神戸を経由し、新開地へ。
 ここから、再度神戸電鉄に復帰。

 駅としては神戸高速鉄道南北線の新開地駅。でも、実質的に神戸電鉄しか乗り入れてないし、南北線も隣の湊川まで。ってことで、三田行き快速に乗車して神戸電鉄のラストスパート。湊川で神戸電鉄になり、地下から地上へ出て急なのぼりをグイグイ上がっていく。
 鈴蘭台に到着して、今日一日かけて攻略した神戸電鉄も完了。でも、まだ乗車予定路線は残っているのでこのまま乗車を続けて、谷上へ向かう。

 いよいよこの日最後となる、北神急行電鉄・神戸市営地下鉄西神・山手線を一気に攻め落とす。谷上は神戸電鉄とホームでの対面乗り換えが出来るみたいで、列車もドアを両側開けてた。
 谷上を発車して、すぐに山岳トンネルに突入。次の新神戸までは8分。六甲山の下、ずーっとトンネルの中を走っていく。窓の外はトンネルの壁なので実感はないけど、おそらく新神戸に向けてずーっと下ってるんだろうなと。
 特にこれといった変化も感じずに、新神戸で神戸市営地下鉄に。山岳トンネルも知らん間に地下鉄に。地下区間も窓の外はトンネルの壁なので、特に何を言うこともなく。新長田駅で山手線から西神線へ入る。妙法寺駅は地上駅で、外はすでに日が暮れて来てた。すぐにトンネルに突っ込んで、名谷で再び地上に。ここで、西神線から西神延伸線に。このあたりは高架になったりトンネルに入ったり地上に出たりと、ちょっとトンネルの多い郊外の都市鉄道って感じで、割と変化があっていい。

 すでに日が暮れた西神中央駅に到着。これで、長かった今日の行程も、行き当たりばっ旅とはいえすべて終了。
 しばらく駅を眺めたあと、吹田へと戻ったのでありました。


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