首都圏2005 その1
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2005年9月。まだ残暑厳しいこの季節。所用があって、上京することになりました。所用つうても、漠然とした所用なので予定はほとんどはっきりと決まっておらず、かなり自由度のある日程でした。前回上京した2月は出張だったのであんまり自由度は無く、余った時間でちょいっと乗れた程度だったんだけど、私用で上京するのはものすごく久しぶりなので、これを機会にちょいちょいと乗っておこうかなと。
ってことで、9月16日の朝。両親とともに朝の東京駅に降り立ったのです。
9月16日
前夜。岡山で両親と合流して、サンライズに乗車。ノビノビ座席を取ったのだけど、予想以上に固いカーペットと薄くて小さい毛布。さらには微妙な寒さで寝心地が大変悪く、じぇんじぇん眠れなかった。東海道山陽路をうつらうつらしながら東進。もと職場の網干総合車両所横、姫路、大阪、名古屋、静岡などとうつらうつらしながら主要駅を確認。こいつは、ノビノビ座席を取った時はもうちょっと考えた方がいいわ。寝るつもりなら、個室を取った方が絶対に良さげ。
それでも、日が昇って神奈川の駅名を見始めるとだんだんワクワクしてきて、横浜、戸塚に保土ヶ谷トンネル、品川でE231系に更新された山手線とか新橋のシオサイトを見ながら、ついに東京駅に到着。
とりあえず丸の内側に出て、両親とともに皇居前へ。あんたら、10年前まで関東近郊に住んどったんと違うんかいと言いたかったけど、まぁいいかと思いながら東京だよおっかさん状態。そのまま桜田門を抜けて首相官邸前まで歩かされ、どこまで行くのからちが明かないので、ひとこと文句を言う。
ってことで、夕方の行動目標点の六本木ヒルズまで歩いて移動後、とりあえず荷物を預けて秋葉原へ。ここから自由行動。
ちょうどこの日開店する、ヨドバシカメラ秋葉原店に向かった両親と別れ、後藤は一目散につくばエクスプレスの秋葉原駅へ。常磐新線と呼ばれていたころに沿線の柏に住んでたけど、その頃は工事の話もほとんど聞かなかったし、ほんとにそんなもの出来るの? って感じだった。これの工事に伴って、柏の十余二にあった柏ゴルフ倶楽部が閉鎖されたって話だし、今の国道16号線を走ると景色が全然違うんだろうなぁ。
さて、そんな秋葉原駅ですが、地下駅だからそんな堂々とした駅舎はないんだろうなーと思ったけど、まぁ、そこそこの構えをした入口が。地下駅舎内部に入ると、意外なほど広々としたつくり。吹き抜けも大きく作ってあるし、やっぱり近代的な新線鉄道だなーって感じはする。
とりあえず3000円のパスネットを購入し、中へ。
東京への延長も計画されてるらしいけど、当面この秋葉原が終着。あっさりとした末端部と、反対側のつくば方面。やっぱり開業してまだ間もないから中はキレイだし、ATO運転だから信号機も植えてないのよね。
すでに入線していた快速つくば行きに乗車。クロスシートもあるんだけど、やっぱりここは先頭車両のロングに乗って、高速新線鉄道を楽しむことに。座席はけっこう固めだけど、最近流行りの「強烈に固い」でも「ふにゃ」でもない、心地よい固さ。どんなに長く乗っても1時間程度だけど、この固さはある程度長く乗っても耐えられると思うなぁ。
運転席との仕切りはスモークガラスになってて、カーテン等一切無し。だから、地下でも先頭が割と見える。ATO運転なので運転士はドア扱いとか発車ボタンを押したりで、あとは乗っているだけ状態。この辺がつくばエクスプレスのつくばエクスプレスたる所以かな。
秋葉原を出てしばらくは地下を進むんだけど、やっぱり東京の地下らしく、かなり曲がりくねったり高低もあるみたいで、それほどスピードも出さずにうにうにと進む。快速とはいえ、北千住までは各駅に止まるからそれほどスピードを出す必要もないんだろうけど。南千住の先でようやく地下から出て、東京地下鉄日比谷線とJR常磐線の間に進出。3線揃って隅田川を渡る。南千住を含めてこの辺は、常磐線の線路移設なんかも含めた大規模工事がされていたそうな。アップダウンを超えて、北千住へと到着。そいや、南千住は荒川区で北千住は足立区なのな。同じ千住なのに。今地図見て気が付いたんだけど、地名としての「北千住」ってのは存在しないのかな、もしかして。「南千住」という地名はしっかりと存在するんだけど、「北千住」の駅は「千住旭町」だし、北千住の中心部の町は「千住」という知名だし。……ふーん。
さて、そんな北千住ですが、常磐線と日比谷線・東武伊勢崎線の間にあるホームに入線。常磐新線の工事が始まる前に、このホームがある場所を見たことがあるんだけど、複線分のホームを設置するなんていう空間じゃなかったもんね。よくあんな狭い空間にホームを作ったと思うよ。工事そのものも、常磐線を乗り越えて資材を搬入する難工事だったとか聞きますが。
北千住を出発すると、東武伊勢崎線の線路はちょっと離れて、今度は常磐線を挟んで向こう側に東京地下鉄千代田線が出てくる。3線並んで荒川を渡る。ちょっと離れたところで荒川を渡った伊勢崎線がカーブを描いてこちらを上を渡っていくと、こっちも常磐線に寄り添いながらカーブを描いてレベルを下げて、再び地下へ。秋葉原から南千住の先は、東京の中心部を突き抜けるための地下だったけど、こっちは足立区の中心部を突き抜けるための地下。線形がいいのか、さっきの地下とは違ってスピードをけっこう出してて、減速する風でもなく青井と六町を通過。さすが、ホームドア付き。
地下で県境を越えていたらしく、再び地上に出たときにはすでに埼玉県。けっこうなスピードを出しながら待避線付きの八潮を通過。三郷中央はスピードを落として通過して、江戸川を渡って千葉県へ。地下へ潜ったら、南流山。武蔵野線との乗換駅でもあるけど、ちょっと離れたところに総武流山電鉄の鰭ヶ崎駅もあるのよね。接続は考慮されてないみたいだけど。あ、よう考えたら総武流山電鉄の存在を忘れてた。
東武野田線との乗換駅でもある流山おおたかの森で、守谷行き普通と接続。ここが快速の停車駅になったのは、やっぱり柏との接続も考えてのことなんかね。ここらへんは関東平野・下総台地のただっ広い田園地帯で、目の前に連なる高架橋を見ると、確かにこの線は超近代的な高速新線だと思うわ。
柏でも再開発の進む柏の葉キャンパスや柏たなかを高速で通過すると、利根川沿いの低地に出て利根川を渡る。ここから茨城県へ。緩やかなカーブを右左と描いて、ちょっとは街並みが戻ってきたかなーと思うと、守谷に停車。
普通列車はここまでで、引上げ線もあるし関東鉄道の拠点のひとつでもある守谷が、つくばエクスプレスの開通で一大ターミナルになったっぽい。ここを出ると引上げ線から車両基地への車庫線が地上に下りていって、小貝川の橋梁上で直流電化から交流電化に。運転士が特にアクションをするでもなく、自動的に切り替わる。もちろん、車内の電気も何もつきっぱなし。次の停車駅は終点のつくばなので、ほとんど速度が緩まることもなく突き進む。いままで高架か地下だったけど、ここで初めて地平に降りて線路が掘割に。台地を貫くようなトンネルに潜ったり、再び高架に上がったりするうちに、右に大きくカーブを描いて研究学園を通過し、つくばの街並みが見えてきたところで地下へと潜り、終点のつくばに到着。あっという間の45分でした。
つくば駅って言っても、やっぱり地下駅だから堂々とした駅舎はなくて、駅の回りもロータリーはあるけどやっぱり普通の駅となんか違う雰囲気。作られた都市ってのはこんな感じなんだろうなーとか思う。
沿線も東京のど真ん中から田園地帯、地方都市に近いものまであるし、地下・高架・掘割と割と変化に富んだ路線だから、列車そのもののスピードと相まってなかなか面白い路線だったと思う。
さて、とりあえず今日の一番大きな目的は済ませたし、どうしようかなーと考える。どちらにしろ、7年ぶりに柏の街を訪ねたかったので、どうやって行くか考える。最初思い浮かんだのは、土浦まで出て常磐線で行く。でも、これだと時間的なロスが大きいんだよなーと思う。ふと考えた時、守谷で関東鉄道に乗り換えるのが一番ロスが少ないと思い、決定。快速の秋葉原行きに乗り込み、守谷まで戻る。
あっという間に守谷まで戻って、とりあえず守谷で軽く撮影。ホームドアが付いてるからさ、車両を撮るのがけっこう難しいのよね。この時ばかりは、デジカメじゃなくて一眼レフを持ってくりゃよかったと思った。
さて、改札を出て外に出ると、すぐ目の前に関東鉄道の駅が。入口同士が屋根でつながっているので、雨でも濡れずに乗換ができるみたい。というよりも、つくばエクスプレスの駅が関東鉄道の駅に多いかぶさってるようなもんなので。取手までの乗車券を買って、入場。
見よ! これが、茨城県が誇る非電化複線都市鉄道だ!
とまぁ、大声に出して叫びたい、関東鉄道。非電化だと侮ること無かれ。これでも立派な都市鉄道で、複線だって九州の某第3セクターのように炭鉱輸送みたいなもので作ったのではなく、純粋な通勤輸送のために作られたのですよ。個人的には、関東最強(日本最強?)の非電化民鉄線だと思う。柿岡の地磁気観測所が無かったら、とっくの昔に電化されててもおかしくない路線ではあるんだけどね。まぁ、将来にわたっても電化するかどうかは微妙なところだろうけど、最近の気動車ってけっこう侮れないからね……。
平日のデータイムなので、そこまで人は多くなかったんだけど、そこそこの人を乗せて終点取手へ到着。
いま気が付いたけど、窓口下の、なんかものすごくゲバルト調な「関鉄」の文字が気になる。
今度はICOCAを持って、JRの改札を通過。この時間帯、常磐緩行線(東京地下鉄千代田線に直通)は我孫子止まりなので、常磐快速線で列車を待つ。なんか、無駄なことしてる気がするんだよなぁ。で、やってきたのは。
E501系。10年前にまだ柏にいる時にさりげなく登場したけど、乗る機会がなかった車。こいつもほとんど増備がされることなく、ついに交直流電車の量産はE531系になったし。でも、乗れなかった車に乗れてラッキー、と思って特徴的なシーメンス製ドレミファインバーターを聞きながら乗る。で、我孫子に到着したところ向こうの常磐緩行線ホームに列車が入ってる。何気なく見てると、なんか車体側面が205系っぽい。「あぁっ!」と気が付いて急いで降りて、常磐緩行線に乗り換える。
こいつも補足出来ていなかった、珍車207系900番台。国鉄最後の新開発形式と言っていいこの車、1編成10両しか作られなかった珍車中の珍車。基本的には、205系がベースなんだけどね。ちなみに、207系って言ってもJR西日本の持っている207系とはまったく違います。ただ単に、名前が同じでVVVF制御使ってるだけで、中身も外見も何もかもまったく別物。
いやー、常磐線の珍しいものに会えるなんて今日はラッキーな日だなぁ、と思いながら柏へと向かう。この時には、まだもうひとつのサプライズがあるなんて思ってもいなかった。
そして、後藤の原点に戻ってきました。7年ぶりの柏駅。しばらく久しぶりの街を散策。街並みもちょっと変わってはいるけど、イトーヨーカドーやおもちゃ屋のマルマン、サンリオショップなどが健在だったのはうれしかった。柏神社にもおまいりして、昼食はホワイト餃子に。後に電話が掛かってきて、両親も柏をたずねていたことが判明。そして母親が土産にホワイト餃子を買っていた。親子で考えることは一緒だな!
住んでいた社宅もまだきれいに健在で、母校もあまり変わりなかったし(でも、昨今の情勢で校門は閉ざされてたけど)。社宅前のスーパーが無くなって更地になってたり、入り浸ってたパソコン屋のところにマンションが建設中だったり、店頭でプロモを流してた梅林堂が面影だけ残して店が変わってたのは残念だった。
さて、そろそろ都内に戻るかなーと思いつつ、まだ時間はあるのでどっかに乗っていこうと思う。んー、と考えたところ、千代田線の北綾瀬支線が残っていたことに気が付き、常磐緩行線で綾瀬へ。
綾瀬と北綾瀬の間でのみ運用されている、専用の6000形。こいつ、確か1次車の改造なんだよね。綾瀬駅にはなぜかホームドアもあったり。ワンマンで運転してるから、そうなのかもしれんけど。
綾瀬を出発したら、常磐緩行線となった下り線の下をくぐって、左カーブを描きゆっくりと北上。もともと、綾瀬の車両基地への回送線を旅客線化したものだし、設備も最低限のものしか設けてないみたい。ゆったりと走りながら、北綾瀬駅に到着。これで、千代田線も残ってたところが片付いた。
意外と利用客もいるみたいで、割と賑わってた。さて、さっさと綾瀬に帰って都内へ戻ろう。乗ってきた電車で綾瀬へ戻り、千代田線の列車に乗ろうと列車を待ってると。やった来たのはなんとこいつ。
こいつも1編成10両しか作られてない、珍車06系。うわぁ、柏在住時からの乗り残しだった車を、今日1日だけで全部乗ってしまっただよ。何てラッキーな日だったんだろうと思いながら、都内に戻りました。