電車でGO!と実際の加速

※車両基地のお話より編集して再録


後藤はあまりはまらなかったのですが、

タイトーの電車でGO!シリーズに、

電車でGO!3通勤編というのがあります。

一応アーケード版で出て、

プレステ2でも発売されてます。

後藤も一応持っているのですが、

あまりやってません。

電GO!2-3000がいちばん燃えたなぁ…。

さて、

電GO!3での攻略法のひとつに、

1ノッチでしばらくためる加速方があります。

発車時の加速の際、

1ノッチで2〜3秒とめてからフルノッチに移行すると、

最初からフルノッチ投入するよりも、

速く加速できると言うことらしいです。

では、

これは現車でも有効な方法なのでしょうか?

結論から言うと、

まったくのウソです。

基本的に、電車の加速は限流値診断で行われています。

限流値とは、

電車が加速するのにもっとも適した電流値のことです。

例えば、抵抗制御の電車ですが、

とある限流値を約350Aに設定したとします。

制御器がこの限流値を測って電流が低いと判断すると、

(運転士が入れているノッチの幅の中で)自動的に抵抗を短絡させます。

つまり、

350Aより低かったら、

電流の値を高くするために、

自動的に抵抗を抜いて電流値を高くしてくれるという、

とっても賢い制御器なのです。

(ちなみに、このような制御方法を「間接制御方式」なんて言います)

さて、実際に動かして見ましょう。

ドアも閉まって「戸閉め点!」車掌から電鈴もリーンリーン♪

出発信号機を指差して大きな声で喚呼「出発進行〜ぉ!」

ブレーキ緩めてノッチオン!

電車はゆっくりと加速を始めます。

抵抗全投入の1段目では、

抵抗が高いので電流値はかなり低いです。

電気の方程式(V=IR)で計算するとわかりますが、

これについてはまた本編で書きます。

1段目は、だいたい200Aくらいかな?

したがって、すぐに次の2段目、抵抗短絡1つ目に移行します。

ところが、その2段目でも250Aくらい。

3段目でも330Aくらい。

4段目くらいで、ようやく400Aくらいまで上がります。

つまり、最初の抵抗はほとんど瞬間的に短絡されます。

で、ここが本題。

1段目、ここでの加速はたった0.5km/h程度です。

1ノッチだけ投入してれば、1段目のまま速度が伸びますが、

電流値が低いので全然加速しません。

(逆起電力のせいもあり、電流値は減っていく)

2段目で1km/hくらい、3段目で1.5km/hくらいです。

4段目は4km/hくらいまで加速してくれます。

113系なんかの抵抗制御の電車に乗っていると、

加速時に「くくくっ」という感覚で加速します。

最初の「くくくっ」というところで、

抵抗がいっきに短絡されています。

つまり、

実際の電車で速く加速しようと思ったら、

いきなりフルノッチ投入の方がいいのです。

本線試運転なんかでフル加速をする時は、

いきなりフルノッチ投入しています。

ではなぜ1ノッチ加速というのがあるか?

これは、乗り心地の問題です。

いきなりフルノッチに投入すると、

いっきに抵抗が短絡されて加速するために、

抵抗制御車なんかはガクンと衝動が出る嫌いがあります。

最近の車両は改善されていますが。

そのため、ある程度の速度まで1ノッチで引っ張るという方法があります。

つ〜ても、時速1〜2km/hだけど。

まぁ、

ブレーキの緩解が良くない車両は、

完全にシリンダーから空気が抜けない状態で加速するので、

衝動が大きい場合もありますけど…。

なお、

1ノッチをあんまり続けるのはよろしくありません。

全抵抗が入った状態が続くため、

やりすぎると抵抗が真っ赤になって焼けます。

一応規定では、

30秒以上1ノッチに入れてはいけないらしいです。

主抵抗器を冷やすためにブロワ(送風機)はついているのですが、

15秒くらいで熱風が出てくるらしいです。

ブロワの風力はけっこう強いので、

そこから熱風が出てきたら、

まさに熱風!疾風!サイバスターって感じです。

書いてる本人でさえワケが分かりません。

まぁ、普通そこまで1ノッチで引っ張るひとも居ませんけど。

以上、

電車でGO!はゲームの世界の話ということで。