インバータって何よ?


VVVF制御のお話に入る前に、

まず基本を抑えていこうと思います。

だって、このお話、非常に奥が深いんですから…。

長い話題になると思いますが、

じっくりしっかりやって行こうと思います。

さて。

VVVF制御方式と呼ばれるもの。

これってどんな制御方式なのでしょうか?

具体的に説明するのはまた後として、

簡単に言えば、インバータを使って交流でモーターを回す。

そういう制御方式です。

では、インバータって何?

今や多くの家電に使われている「インバータ」というもの。

具体的に、どんなものか知っていますか?

「インバータ」を辞書で調べてみると、

>(1)論理回路において,入力と反対符号の出力を生成する演算要素,または回路。
>(2)直流の電力を電圧・電流・周波数の一定した,あるいは可変の交流電力に変換する装置。逆変換器。
>goo辞書 三省堂提供「デイリー 新語辞典」より

とあります。

(1)はインバータそのものの説明なので、省略。

(2)の「直流を交流に変換するもの」が、今回のお話における「インバータ」と言えます。

ちなみに、「インバータ制御」を辞書で調べると、

>インバーターを用いて,可変の電圧・周波数の交流電源により,電動モーターの速度制御をする方式。
>goo辞書 三省堂提供「デイリー 新語辞典」より

となります。

実は、これがVVVF制御の本質だったりするのですが、それはさておき。

一般家庭では、インバータがたくさん用いられています。

例えば、蛍光灯や冷蔵庫。

90年代初頭には、インバータをうたい文句にした家電のCMがたくさんありましたな…。

「取り替える〜ならインバータ〜♪ ナショ○ル〜のインバータ〜♪」

で。

なぜ、インバータが使われるのかと言うと、いろいろと理由があるのですが、

まずひとつは、蛍光灯などのチラつきを防ぐと言うものがあります。

コンセントの電気は、交流100V、東日本では50Hz、西日本では60Hzの周波数があります。

周波数とは、1秒間に何回電気の流れる方向が変わるか、です。

つまり、1秒間に東日本では50回、西日本では60回、電気の流れる方向が変わっています。

すると、コンセントの電気をそのまま蛍光灯や電球に通すと、

その光は1秒に50回もしくは60回の点滅を繰り返していることになります。

要するに、目に見えない速度でチラついているのです。

目に見えないとはいえ1秒間に50回なので、チラつきがいろんな原因により見えたりします。

そこで、周波数を上げて目に見えないほどの明滅をさせ、

チラつきを抑えると言う手法を取ったのがインバータ蛍光灯です。

(インバータを取り入れる理由は他にもあるのですが…)

また、冷蔵庫やクーラーでは、温度を一定に保つことが出来ると言う理由などでインバータが取り入れられています。

ある一定の温度でスイッチが入り、温度が下がるとスイッチが切れる。

また温度が上がるとスイッチが入り、下がると切れる。

そんなんじゃ、温度が上がったり下がったり上がったり下がったりでよくありません。

ってことで、インバータを取り入れて、

温度が上がったらコンプレッサーの回転数を上げて室温を下げ、

温度が下がってきたら今度は回転数を下げる。

出来る限り温度が一定になるよう、緻密な制御を行えるというのがインバータの特徴です。

じゃあ、インバータってどんな回路なん?

ってことで、下の回路図をご覧ください。



インバータの模擬的な回路ですが、これが基本です。

この図で、1と4、2と3のスイッチ同士を交互にON、OFFする(1と4がONの場合、2と3がOFFとなる)と、

ランプへとつながる回路が交流となります。



1と4をONにすると、電気はオレンジの線のように流れ、

1と4をOFFにして2と3をONにすると、電気はピンクの線のように流れます。

直流電源から出たばかりの部分(回路図でのところ)ではもちろん直流ですが、

ランプに繋がっている2本の線(回路図でのところ)が、オレンジとピンクでは別の向きになっていますね?

このようスイッチの入り切りをすると、交流を作り出すことが出来ます。

つまり、スイッチを入り切りするスピードを変えることで、交流の周波数も変えることが可能となります。



例えば、1と4のスイッチ、2と3のスイッチを0.5秒間ずつ入れると、電流は上のようなグラフになります。

電流は1秒間にプラス方向へ1回、マイナス方向へ1回の波を描きます。

この波のことを交流の「サインカーブ」といい、この交流は1Hz(ヘルツ)となります。

つまり、1秒間にプラス方向へ60回、マイナス方向へ60回、電流の方向が変われば、60Hzの交流となります。

ちなみに、実際は単純なスイッチの入り切りとなるので、

こんなグラフみたいなきれいなサインカーブは描きません。

実際は直線的な、棒グラフのような感じになるのですが、あくまでイメージとして捉えてください。

実際のVVVF制御でも直線的な電流(パルスと言いますが)を出力するのですが、

それはまた別の項でお話します。

それと、回路図では機械的なスイッチを使って説明をしましたが、

実際は半導体などを使って電流の入り切りをしています。

それも、また別の項でのお話にします。

それでは、次の項でVVVF制御についてのお話をしたいと思います。